人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2007年 06月 12日
イングランドは本当に強いのか?
イングランドは本当に強いのか?_e0068849_14341118.jpg
▲2アシストで勝利に貢献したベッカム

 ベルギー対ポルトガル戦をお伝えする予定でしたが、ベッカムがイングランド代表に復帰後、初の公式戦となったユーロ2008予選のエストニア対イングランド戦をお伝えします。

 今シーズンの最後の公式戦となったこの試合は6月6日、エストニアの首都タリンで行われた。欧州の中でアンドラ、フェロー諸島、サンマリノ、リヒテンシュタインといった小国はW杯やユーロの予選でサッカー大国に到底勝てる見込みはない。が、ホームの試合では引き分ける可能性があり、それが強国の上位争いに微妙に影響してくる。今回のエストニアもバルト三国では最も人口が少なく140万人。サッカーの母国イングランドにとって勝って当然の試合。
 しかし、予選グループ4位に甘んじ、この試合に勝たないと、予選敗退とマクラレン監督の首が飛ぶ可能性が現実味を帯びるイングランドの各選手は入場の際、かなり神経質だった。 特に主将のテリー、ジェラード、ランパードの主力は、エストニアごとき(ちょっと格下にみて失礼だが、、、)にこんなにナーバスになってどうするの?というくらい表情はこわばっていた。
 前半は、ボール・ポゼッションは高いものの、これといって有効な攻めがない。灯台のようにそびえるクラウチめがけてボールを放り込むだけ。クラウチとオーウェンの2トップが前後左右に動いてスペースを作る動きをしないため、スペースが生まれず中盤の選手が2列目から上がる動きが作れない。
 しかも、ボランチの位置に本職の選手を置いていないので、中盤の中央を担うランパードとジェラードがお互いに守備を意識して思い切って上がれない。ここがイングランドの問題点の一つ。イングランドで最も実力と人気のある選手を並べたのはいいが、バランスが取れていない。ランパードはチェルシーでマケレレやミケルがボランチ役に徹してくれる。ジェラードのリバプールは同様にアロンソやマスチェラーノがその役割を担ってくれる。したがって彼らの攻撃的能力が生きるのだ。

 ジョー・コールのゴールで1対0とリードしたものの、内容自体はとても褒められるものではなかった。相手はベッカムのクロスを警戒して、早いプレッシャーでフリーでクロスをあげさせなかった。そのため攻撃は、単調で左サイドからジョー・コールを越えてサイドバックのブリッジが盛んに駆け上がってクロスを試みるが、決定的チャンスが作れない。
 オーウェンがゴールできるチャンスがあったが、相手をかわそうとしてコースがなくなった。彼の動きにも切れがなく、まだフィットネスが100%戻っていないような気がする。

 後半こそ相手が疲れて、ベッカムへのプレッシャーがなくなり、正確なクロスから2点を追加した。が、これがクロアチア、ロシア、イスラエルを相手に通用するか疑問だ。
 残り5試合中、4試合がホームでの戦い。この数字だけ見るとかなり有利に思える展開だが、ホーム4試合のうち3試合は相手が現在グループの上位にいるクロアチア、ロシア、イスラエル。ここで引き分けが2つくらい続くと予選突破が危くなる。
 私は、クロアチアとロシアとの試合がキーポイントになると思う。特にロシアとはアウェーの試合も10月に控えている。監督は韓国を2002W杯ベスト4に導き、オーストラリアを2006W杯で史上初のベスト16に進め、グループリーグでは日本を3対1と叩きのめしたあのヒディンクだ。かなりイングランドを苦しめるに違いないと見ている。
 ホームで2試合くらい引き分けてしまうと、クロアチアとロシアに本大会出場権を持って行かれる可能性はありえる。

次回は、ベルギー対ポルトガル戦でデビューしたナニについて。

# by kaz-photo | 2007-06-12 14:34 | サッカー